初心者でも分かる!DLPプロジェクターの「DLP投影方式」について分かりやすく解説
分かりにくい・・・DLP投影とは
プロジェクターの投影方式には液晶方式やDLP方式があります。
DLPプロジェクターは各社から多くの製品が販売されており、投影方式ではメジャーなものです。
そのDLP方式ですが、どのサイトを見ても説明が正直分かりにくい。
例えば、DLP方式とは、「アメリカのテキサス・インスツルメンツ社が開発したDLPテクノロジーを使った投影方式。」と書かれていたりしますが、だから、どんな方式なの?と。
分からない・・・。
文章だけでは伝わらないんです。
そもそも理解するのが難しいのに、一行の文章で分かるはずがない。
イラスト付きで紹介されてもいますが、そのイラストと説明文を読んでも分かりにくい・・・。
筆者も理解するのに時間を要した記憶があります。
その理解しにくい理由として、人間では(人間と一括りにするのはおかしいですね、少なくとも筆者は)到底考えられないようなスーパーテクノロジーが盛り込まれている点だと思います。
DLP投影方式の肝となるDLPチップのサイズや動作のスピードが想像をはるかに超えている事が大きな理由です。
さらに、昨今のWEBサイトは情報が溢れ、知らない人が書いていることもあり、更に分かりにくさが助長しているように思います。
その辺も踏まえて、本記事ではDLP投影方式について、初心者でも分かるよう、そして、初めて読んだ人の理解が進むよう、できるだけ丁寧に解説しますので是非とも理解を深めてください。
DLPとは
まずはDLPとは何ぞや、言葉から解説します。
DLPとはデジタル・ライト・プロセッシング(Digital Light Processing)の頭文字をとった言葉で、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)社が開発した独自のテクノロジーが使われています。
テキサス・インスツルメンツ社は、電子機器、半導体を開発・製造する世界的なグローバル企業で、アメリカ合衆国テキサス州ダラスに本社があります。
TIと略称で呼ばれることも多いです。(それで通じるビッグカンパニーです)
DLP方式にはアメリカのすごい技術が盛り込まれています。
DLP投影方式にはDLPチップが入っており、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)と呼ばれる、稼働する極小のミラーが敷き詰められており、そのミラーの傾きで光をコントロールする投影方法です。
※DLP、DMD™はテキサス・インスツルメンツ社の登録商標です。
まずは、名称を知っておきましょう。
名称については、こういう言い方をするもんだとご理解いただければO.K.です。
この文章を初めて読んで分かる人は少ないと思います。
極小と言ってもどの程度の大きさなのか、それが稼働するとはどのように稼働するのか、分からないのです。
この段階ではDLP投影方式にはテキサス・インスツルメンツ社DLPチップと言うスーパー技術のパーツが使われており、そのDLPチップの中に、デジタル・マイクロミラー・デバイスという極小のミラーが敷き詰められていることを知っておきましょう。
下記の写真がDLPチップです。
DLP方式のプロジェクターの中の中に入っています。
DLPチップの大きさですが、民生用のプロジェクターでは手のひらに十分収まる大きさです。
チップの中央に写真ではグレイに見える部分に極小のデジタル・マイクロミラー・デバイスが敷き詰められています。
驚くことに、ミラーの数は解像度のドット分になります。
例えば、フルHDのドット数は1920×1080ドットです。
その数のミラーが存在しています。
それでは詳しく見てみましょう。
はじめにDLP投影方式の全体像を知ろう
先の文章で、DLP投影方式の肝となるDLPチップが使われていることを知りました。
では、そのDLPチップを使ってどのようにプロジェクターが投影されるのか、全体像を知りましょう。
細かい部品は除いて概念的にご説明します。
下の図が光源~投写レンズまでの流れです。
光源から投写レンズまでの流れを見ますと、光源(水銀ランプやレーザー)から発せられた光はカラーホイール(円形の透過型カラーフィルター)に光を透過させます。
下の写真がカラーホイールです。
このパーツが高速で回転しています。
カラーホイールを透過した光はDLPチップに向かいます。
DLPチップ内のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)が投写レンズに向かっていく光と光吸収板で消滅する光に分けられます。
デジタル・マイクロミラー・デバイスの動きはカラーホイールと同期して、超高速にスイッチングを繰り返して、RGBの光を作り出します。
映像を作り出します。
うーん、分かりやすく書いているようでも分かりにくい・・・、DLPチップに内蔵されるデジタル・マイクロミラー・デバイスの動きについて詳しく説明の必要がります。
デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の動きについて
DLP投影方式について理解するためには、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の動きについて見てみましょう。
DMDは極小のミラーです。
このミラーがON、OFFをして光を映す/映さないを制御します。
図を見てください。
小さなDLPチップの中に、ミラーはプロジェクターの解像度分のミラー敷き詰められています。
先程も触れた通り、フルHDであれば、1920×1080=2073600個のミラーがあります。
200万以上のミラーが敷き詰められていることにまず驚きます。
このミラーが角度を変えて動くことでON/OFFを繰り返します。
下記のような動きをして、光のコントロールします。
このミラーのすごい所が、小さいこと、そして高速で動くことです。
1秒間に数千回もON/OFFが切り替えられて動きます。
OptomaプロジェクターのUHD55の場合、1秒間に9000回というスピードです。
ここまで読んでい頂いて下記の動画を見てください。
テキサス・インスツルメンツ社のDLPテクノロジーを紹介する動画です。
英語ですが、イラストが非常に分かりやすく、これまでの説明の内容が理解いただけると思います。(自信あり!)
ピコピコこ高速で動くミラーの動きを想像しただけで、楽しくなります。
プロジェクターの中では信じられないような動作を繰り返して、映像を映し出しています。
おさらい!もう一度DLP投影方式の全体像を見てみよう
デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の動きがきっとお分かり頂けてところで、もう一度DLP方式の全体の流れを見てください。
おさらいです。
先程と同じイラストを見てください。
光源からの光をカラーホイール[RGB(Rレッド・Gグリーン、Bブルー)等 ]を透過し、DLPチップに光が向かいます。
マイクロミラーはONとOFFをスイッチすることができ、ONの時は光を映し(投写レンズに向かう光)、OFFの時は光を映さないといった仕組みです。
このONとOFFの動きが高速で回転するカラーホイールに同期しています。
映像をカラーで表現するには、R赤、G緑、B青の光源を時分割してDMDへ照射することで実現しています。
各ミラーは投影したい色がミラー面に照射されたタイミングでONにします。
例えば、グリーンを映したい時、G緑の光がミラーに届いた時にONになります。
カラーホイールとデジタル・マイクロミラー・デバイスのON/OFFのスイッチングは、非常に高速で動き、人間の目にはついていきません。
人の目に追えない高速で動くことで、残像効果によってカラー映像が作り出されます。
如何でしょうか、なんとなく、DLP方式の投写方式が分かるような気がしませんか。
まとめ
プロジェクターのDLP方式の投影についてご紹介しました。
なるべく分かりやすく、イラスト、動画を用いて解説しましたが、如何でしょうか。
DLP投影方式は驚くべき技術で、普段使用していますプロジェクター内部では信じられないような動きをしています。
改めてプロジェクターの映像を見ると、また新鮮な気持ちでプロジェクターに接することができるのではないでしょうか。
DLP投影方式の解説でした。