投写距離が計算できるプロジェクターのThrow ratio(スローレシオ)とは
スローレシオを知ろう
プロジェクターを選ぶ際には、明るさや解像度、接続性といった多くの要素を考慮する必要があります。
その中でも「スローレシオ(Throw Ratio)」は、投影距離と画面サイズに関わる重要な指標です。
お部屋の広さに合わせてプロジェクターを選定しますが、その時にチェックするのがスローレシオです。
スローレシオを理解することで、部屋の大きさやスクリーンの位置に合わせた最適なプロジェクターを選ぶことが可能になります。
本記事では、スローレシオの定義とその意味、計算方法、スローレシオから分かることなど解説を行います。
スローレシオの定義
スローレシオ(Throw Ratio)とは、プロジェクターからスクリーンまでの投影距離と、スクリーン上に投影される画像の幅(横幅)との比率です。
具体的には以下の式で表されます。
スローレシオ = 投写距離 ÷ 画面サイズの横幅
この値を知ることで、どの程度の距離からどのくらいの大きさの画面を投影できるかを把握することができます。
具体的に計算してみよう
例1)投影距離: 3メートル、画面サイズの横幅: 2メートルの場合
スローレシオ = 投影距離 ÷ 画面サイズの横幅
= 3m ÷ 2m
= 1.5
例2)投影距離: 1メートル、画面サイズの横幅: 2.5メートルの場合
スローレシオ = 1m ÷ 2.5m
= 0.4
この求められた数値により何が分かるのでしょうか。
スローレシオの意味
スローレシオの値によって、プロジェクターがどの位置からスクリーンに映像を投影するのに適しているかが決まります。
スローレシオから、目安としてプロジェクターの種類は以下のように分類されます。(各社によって異なるようですが概ね同じです)
標準スロープロジェクター(Standard Throw Projector)
スローレシオが1.0〜2.5程度のプロジェクター。
これは、投影距離が画面幅の1.5倍から2.5倍の範囲内であることを意味します。広めの会議室や教室など、比較的広いスペースで使用するのに適しています。
標準スロープロジェクターから更に長い焦点距離のプロジェクターもあります。
それらはロングスローや超ロングスローと言われ、スローレシオが5を超えるものもあります。
ショートスロープロジェクター(Short Throw Projector 短焦点)
スローレシオが0.4〜1.0程度のプロジェクター。
短い距離で大きな画面を投影できるため、小さな会議室やホームシアター、壁に近い位置から大画面を映したい場合に向いています。
ウルトラショートスロープロジェクター(Ultra Short Throw Projector 超短焦点)
スローレシオが0.4未満のプロジェクター。
壁から数十センチメートルの距離で、100インチの投影が可能です。
限られたスペースへの設置や演者の影が映らないといった利点があります。。
スローレシオが低いほど短い距離で大画面を実現でき、スローレシオが高いほど長い距離を必要とします。
これにより、プロジェクターの設置場所や環境に応じて最適なモデルを選ぶことが可能になります。
先程の例で計算したスローレシオを確認しますと、
例1は1.5になりますので、標準スロープロジェクターに属します。
例2は0.4になりますので、ショートスロープロジェクターと言うことが分かります。
このように、スローレシオを見ただけで、そのプロジェクターがどのような焦点タイプか分かるようになります。
スローレシオで計算した値とスペックの投写距離が異なる?
スローレシオで投写距離を計算すると、プロジェクターのスペック表の投写距離が異なるってことがあります。
あれ!?
スローレシオで言う「投写距離」は光源からの映像面までの距離の事です。
超短焦点プロジェクターなどのスペック表に記載されている「投写距離」はプロジェクターの先端で記載されていることがあります。
(その方が使いやすいからです)
投写距離の概念の違いにより異なって見えるだけで、概念を合わせることで結果は同じになります。
まとめ
スローレシオって何?と思いがちですが、実は簡単な計算で求めることができます。
プロジェクターのスペック表にはスローレシオが記載されていることがあります。
定義を理解し、特性を把握していれば、数値を見るだけで、プロジェクターの焦点タイプが分かります。
スローレシオが低いプロジェクターは狭いスペースでの大画面投影に適しており、スローレシオが高いプロジェクターは広い空間での投影に向いています。
プロジェクターの設置計画を立てる際には、投影距離や画面幅を考慮し、スローレシオを基に最適なモデルを選ぶと良いでしょう。