巻上式スクリーンのシワの種類とその原因、品質について解説

スクリーンのシワ

今回はスクリーンのシワのお話です。
映画館のスクリーンは機構上、高い平面性を誇りシワはありません。
それは生地をトランポリンのように引っ張り上げている作りのため、シワが発生しません。

映画館と同様のタイプとしてホームシアターでは張込スクリーンがあります。
平面性が高く、優れた映像を映し出しますが、その一方でスクリーンが常設されるため、用途によっては使いにくいこともあります。

そこで登場するのが巻上式スクリーンです。
天井や壁につけて電動や手動で昇降するスクリーンです。
巻上式のため使わない時はスクリーン生地を収納できますが、この収納で昇降できることが実は曲者、シワを作り出す犯人です。(犯人は言い過ぎか・・・)

シワを作り出す原因とは

そもそも巻上式スクリーンにはシワがあります。
飛行機の上から海を見た場合、平らな水が見えます。
でも、近づいてみると、波が立っています。
それと同じように、スクリーンを遠くからみると平らに見えますが、近づくとシワがあります。

そのシワの程度によりスクリーンの品質は大きく異なります。
当然、ピシッと平面性が高いスクリーンは高品質ということになります。(シワがほとんど見えない。近くでも気づかない)

巻上式スクリーンのシワは巻取ローラーが大きく関与します。
スクリーンは横幅が非常に長いです。
そのため、サイズが大きくなるほどローラーがたわみやすくなります。
ローラーの素材はアルミなどのため、目に見えてたわむことはありませんが、スクリーンは両サイドで固定するため、中心部が重力によりたわんできます。
このローラーのたわみによりシワが発生します。

シワを防ぐ加工

スクリーンを両端と中央の3点で固定すれば、ローラーはたわまないと考えるかもしれませんが、3点止めは水平がとることが困難で、逆にシワを呼び寄せてしまいます。
そのような設置はよくありません。

シワが発生しないようにするには、生地の材質や種類、気候、スクリーンのサイズなど、様々な要素を鑑みて、ローラーに巻き取る際の加工を施します。
その辺はスクリーンメーカー各社の腕の見せ所です。

シワによる影響

スクリーン表面が波打っていたり、凹凸があると、そのしわが影になり、極端な話、投影された映像が歪んでることがあります。
これにより視聴体験が損なわれます。

スクリーンの表面がビシッと保たれ、プロジェクターからの光が均一に反射されることで、スクリーン全体にわたって鮮明でシャープな映像を映し出すことができます。
平坦な表面は光を均等に反射し、明るくクリアな映像を提供しますが、凹凸のある表面は光を不均一に反射し、コントラストや輝度が不均等になる可能性があります。

だからこそ、スクリーンの品質を図る上で、平面性は非常に大切な要素となります。

巻上式スクリーンで発生する主なシワの種類

巻上式スクリーン表面に発生するシワのパターンはいくつかありますが、代表的なものは2つです。
①Vの字型、②ハの字型(X字とも言います)です。

シワの発生する原因の多くはスクリーン生地の真ん中と両端のバランスが崩れることで発生します。
また、生地自体の不良や生地を巻き付けるローラー部分の不良(ローラーの曲がり)により、生地のバランスが崩れてシワとなって表れてきます。

①Vの字型のシワ

Vの字型のシワは、その字の如くスクリーン全体でVの字のようにシワが現れます。
スクリーンのシワでよく見るパターンです。

(主な原因)
スクリーンの中央部が下へ引っ張られることで発生します。
スクリーンをローラーに貼り付ける際に中央部が下へ引っ張られるバランスになることで発生します。
生地を巻き付けるローラーの不良(曲がり)で発生することもあります。
まっすぐなローラーを使用し、ローラーに生地を貼り付けるテンションバランスを保つことで、しわを防ぐとこができます。

下記のようなスクリーンがVの字型のシワです。
因みに弊社の品質では映像に影響がでるシワのためNGです。

中央付近にかけてVのシワが見ます。
非常に分かりやすい例としてV字のシワです。

②ハの字型のシワ

Vの字型のシワと並んでよく発生するシワがハの字型(X字)のシワです。
スクリーン全体で大きくハの字として現れます。

(主な原因)
Vの字のシワと同様、スクリーンの中央部と両サイドでバランスが崩れることで発生します。(両端が下へ引っ張られる状況です。)
Vの字型のシワと同様、ローラーの不良により発生することもあります。

下記のようなスクリーンがハの字型のシワです。
因みに弊社の品質では映像に影響がでるシワのためNGです。

スクリーン下部にかけてハの字のシワが発生
シワの影響があります
左下部のハの字のシワが目立ちます。

その他、巻取部分の直下に発生しやすい小じわや巻き段等あります。

スクリーンの品質とシワ

スクリーンを選定する際、平面性は非常に大切な要素です。
スクリーンの品質を左右するといっても過言ではありません。(冒頭申した通り、シワはありますが、その程度の問題です)
高い平面性を保ち、Vの字やハの字のシワが発生しているようなスクリーンは、良い品質とは言えません。

初期の段階でシワがある状態ですと、使っていくうちに更にシワが目立ってきます。
バランスが崩れてシワが発生している以上、そのバランスが改善されることはありません。
(一時的な巻きによる横シワは改善されますが、今回のようなシワは改善されません)
強弱はどんどん加速していきます。

各スクリーンメーカーは各々の会社の品質基準で製造しており、平面性の基準は各社で異なるでしょう。

例えば、当社の製品であるオーエスブランドのスクリーンでは出荷前に全品検査を施し、目視チェック、スクリーン面に照明や映像を当てて、自社基準に満たしたもののみを商品としてお届けしています。
最終的には映像を映してシワの影響判断を行います

スクリーンの設置例として紹介されているWEBサイトも数多くありますが、残念なことにシワが目立つスクリーンも目につきます。

設置方法が原因でスクリーンのシワが発生することもありますので、一概に製品自体の品質の良し悪しを判断できませんが、はやり残念です。

まとめ

スクリーンの品質を左右する平面性についてご紹介しました。

スクリーン上に発生するシワの多くは、ローラーのたわみによる力のバランスが崩れることで発生します。
生地、ローラー、下パイプ等、スクリーンを構成する部品の一つ一つの品質とそれらを活かす技術力により、最高品質のスクリーンが出来上がります。

本記事をぜひスクリーン選びの参考にしてください。