スクリーンゲインって何?ピークゲイン?ハーフゲイン?スクリーンの反射特性を数値で表すスクリーンゲインを徹底解説
スクリーンの特性を表すスクリーンゲイン
スクリーン選定のポイントにスクリーンゲイン(GAIN)があります。
はじめて聞く人にとって、スクリーンゲインと言われても分からないでしょう。
スクリーンゲインはスクリーンの特性を示す重要な要素になりますので、これからスクリーンを買いたい!という方は、本記事で知って頂き、スクリーン選びの参考にしてください。
スクリーンゲインとは
スクリーンゲインとはスクリーン生地が固有に持っている反射特性を数値で表したものです。
我々はプロジェクターからの光をスクリーンが受けて、その反射した光で映像を見ています。
よって、反射光を見ていることになりますが、スクリーンゲインはその反射の度合いがどの程度なのかを表したものです。
標準白板と言われる完全拡散板(酸化マグネシウムの白板)に光を当てた時の輝度を標準(ゲイン1.0)として、同一条件下で計測したスクリーン生地の輝度との比率がスクリーンゲインです。
スクリーンゲインが1.0であれば標準白板と同じ反射と言うことになります。
スクリーンゲインが高い程、光を良く反射して明るいスクリーンと言うことになります。
スクリーンゲインの測定法
スクリーンを中心に垂直方向に光を照射し、中心から同一円弧状を左右60°の範囲で5°ずつ移動したポイントで反射光の明るさを輝度計で測定します。
上の図を見て頂いたら分かる通り、正面から光を反射するスクリーンの場合、0°は測定できません。
光を当てた部分を測定することが0°となるため、物理的に測定が出来ないのです。(図ろうとすると光を遮ることに)
5°からが現実的な測定の範囲となります。
スクリーンの反射特性曲線グラフとは
スクリーンの反射輝度を5°~60°まで計測します。
それらをグラフに纏めたものがスクリーン生地の反射特性曲線として表されます。
グラフの横軸が0°~60°まで5°ずつ計測の角度になります。
縦軸は、ゲインです。
上の図(サンプルです)を見ると、5°の部分はスクリーンゲインが約0.89と言うことが分かると思います。
0°は光が垂直に当たっている部分となるため、計測はできません。
そのため点線で表しています。
光が垂直に当たる(0°に近い程)程、反射率も高く、ゲインは高くなります。
ピークゲインとハーフゲインについて
ピークゲインとは
ピークゲインとはスクリーンゲインの一番高い数値のことで、光が垂直にあたる部分がピークとなります。
現実的には5°で計測した値が実用的なピークゲインとなり、「5°ゲイン0.89」などと表記されます。
ピークゲインを見ることで、プロジェクタ―の中心付近で映像を見た明るさを把握することができます。
ハーフゲインとは
反射特性曲線でピークゲインとは別にもうひとつ大切な要素があります。
それが「ハーフゲイン角」です。
ハーフゲインとはピークゲインの半分(ハーフ)値のことです。
そのハーフゲインとなる角度のことをハーフゲイン角と言います。
スクリーンの適視範囲角度
スクリーンの適正視聴位置はゲイン最大値のピークゲインから、ゲインが1/2となるハーフゲインまでの範囲とされており、ハーフゲインとなる角度が大きいほど、視野角が広いスクリーンということになります。
ピークゲインが大きくなるほど、明るくなりますが、その反面、視野角が狭くなっていく(ハーフゲイン角が0°に近づく)性質があります。
上図の反射特性曲線の場合、実用ピークゲイン(5°ゲイン)が0.89でハーフゲインの数値は0.89÷2=0.495になります。
60°の角度(VIEWING ANGLE)でもゲインは0.495以上の数値がありますので、このスクリーンのハーフゲイン角は60°以上になります。
(サンプルのスクリーンは拡散系のため、ゲイン数値が0.495にはならないでしょう。)
よって、広い範囲の視聴に適したスクリーンと言うことになります。
例えば、大勢の人が集まって横に広がってみるようなスクリーンはハーフゲイン角が大きい方が適正なスクリーンと言えます。
用途を考える際にハーフゲイン角は大切な要素となります。
まとめ
スクリーン生地の特性を表すスクリーンゲインについてご紹介しました。
スクリーンは拡散型や回帰型など反射特性があり、ピークゲイン、ハーフゲイン、ハーフゲイン角などが大きく異なります。
グラフの形状もそれぞれです。
スクリーンを選ぶ際は、用途や目的にあわせてマッチする特性のスクリーンを選ぶ必要があります。
スクリーンゲインを理解し、反射特性曲線の見方を知ることで、どのような特性のスクリーンか分かるようになります。
別の記事でスクリーンの反射特性にも触れたいと思いますが、今回はゲインについて解説しました。