ホームシアターで快適なスクリーンの高さってどれ位?スクリーン下端の算出方法は15°以内がポイント!シミュレーション付きで解説

スクリーンの高さ位置とは

快適にスクリーン大画面を楽しむためのスクリーンの位置とは

天井や壁面にプロジェクタースクリーンを設置する場合、スクリーンの下端(スクリーンの最下部)がどの位置に来ればよいのでしょうか。
悩むところです。

大勢の人が集まる大会議室やイベントホールとホームシアターではスクリーンの設置高さも異なります。
沢山の人が集まる場所では、後ろの人が見やすいことも検討しなければなりません。
一概に決めるのが難しいのが正直なところです。
でも、目安は欲しいですよね。

そこで、今回はホームシアターにスポットを当てて、ご自宅で楽しむためのスクリーンの位置(高さ)の決め方をご紹介します。

床面からスクリーンの下端の位置を決める際、見上げる様では長時間見ていると首が痛くなって疲れます。
逆にあまりにも見下げるようになっても見づらいでしょう。
丁度良いスクリーンの高さの目安とはどれくらいでしょうか。

今回ご紹介する高さの目安の算出方法は、視聴距離や視聴位置の目線の高さなどから計算しますので、どのような方でもお役立ちすると思います。
複雑な計算を用いることなく紹介しますので、スクリーンの位置決めの参考にしてください。

床面からスクリーン下端の位置の算出方法

大画面スクリーンを快適に見るためには、視聴位置とスクリーンの高さが大切です。
スクリーンの大きさに対してあまりにも近寄りすぎると、大きな画面が視野に入りづらくなり、見づらくなります。
よって、スクリーンのサイズにマッチした位置(スクリーンから視聴者の距離)で見ることが、快適な視聴ポイントを得るになります。
(参考記事)大きいだけではNG!部屋の大きさに合わせたスクリーンを選ぼう!ホームシアターで最適なスクリーンサイズ選びのコツとは

視聴距離とスクリーンサイズについては上記の参考記事に詳しく解説しています。

今回はスクリーンの上下の高さの位置について考えたいと思います。

スクリーンの高さの位置決め

スクリーンの高さ位置とはずばり・・・

イメージセンターの高さ位置と目線の高さ位置の角度を15°以内にすることです。

具体的には下記のイラストをご覧ください。

イメージセンターの高さとは、映像の中心位置の高さです。
スクリーン(マスク部分を含めた)の中心位置ではありませんのでご注意ください!

15°以内にすることで、ゆったりリラックスした状態で映画などを楽しむことができると言われています。
首が疲れにくいのです。

イラストで概念はお分かり頂けたと思いますので、具体的に計算する方法をご紹介します。
もちろん、テレビボードなどがある場合は、それらの高さを考慮する必要がありますので、そういったボード類が無いことが前提です。

算出の流れ

算出の大雑把な流れはスクリーンから視聴位置の距離(視聴距離)を計測し、目線の高さから角度が15°以内におさまるようにイメージセンターの高さを決めます。
スクリーン下端からイメージセンターの高さを計算することで、スクリーン下端の位置を決めることができます。
これだけでは分かりにくいので、ひとつづつ見てみましょう。

以下の流れで計算できます。(視聴環境にもよりますので、目安としてとらえてください)

シミュレーションがあった方が分かりやすいので、OS SCREENの電動スクリーンを例として下記の条件で計算します。
・スクリーン:OS SCREEN100インチ電動スクリーンEP(16:9)
・視聴距離:2500mm
・目線の高さ:1000mm
・イメージセンターと目線の角度:15°

シミュレーションのスクリーンサイズは下記になります。

スクリーン例

(1)スクリーンのイメージセンターの位置を計算します。
イメージセンターとは映像の中心位置です。
スクリーンのサイズやマスクの有無によって異なりますので、導入予定のスクリーンの図面などから計算してください。
今回の例で使用しますスクリーンでは、以下がイメージセンターになります。

イメージの天地の長さが1245mmです。
2で割った位置がイメージセンターの位置です。
1245mm÷2=622.5mm
※因みに、シミュレーションのイラストの縮尺は説明用のため全く合っておりません。

イメージセンターの位置は622.5mmです。

(2)スクリーンの下端からイメージセンターの長さを算出
イメージセンターが分かりますと、スクリーンの下端からイメージセンターの長さを算出することができます。
スクリーンには下マスクとパイプがあります。
それらを足さなければなりません。(シミュレーションのスクリーンの場合です)

イメージセンター

622.5mm+50mm+28mm=700.5mmとなります。

スクリーン下端からイメージセンターの長さは700.5mmです。

(3)視聴距離を測ります。
スクリーン面から普段視聴する位置における視聴距離を測ります。
ご使用予定のお部屋で視聴距離を計測してください。

今回は2500mm(2.5m)として計算します。

(4)目線の高さからスクリーンのイメージセンターの長さを算出します
目線の高さからイメージセンターの高さまでの距離を計算します。
この時の計算方法はtan(タンジェント)で計算します。

タンジェントについて少し触れましょう。
今回の例では底辺が2500mmです。
その底辺と直角になる辺の長さを求めようとしています。

目線からイメージセンターの長さの求め方
イラストの縮尺は合っていません・・・。

tan15°の値は0.2679です。

15°の角度ではちょっと高いかな~と思われる方は10°など、お好みの角度に調整してください。
tan1°~tan15°までは下記の通りです。
計算の参考にしてください。

角度正接(tan)
0.0175
0.0349
0.0524
0.0699
0.0875
0.1051
0.1228
0.1405
0.1584
10°0.1763
11°0.1944
12°0.2126
13°0.2309
14°0.2493
15°0.2679

15°で計算します。
tan15°=求める長さ÷2500mm
求める長さ=0.2679×2500mm=669.75mm

よって669.75mmになります。

この数値は目線の高さから約670mmの上にスクリーンのイメージセンターの位置が来ることを意味しています。

(5)目線の高さよりスクリーンの下の部分の長さを計算
ここまでくればもう少しです。
スクリーン下端からイメージセンターの長さは算出していますので、その数値から(4)で求めた(イメージセンターの高さと目線の高さの距離)を引きます。

目線の高さより下の部分のスクリーンの長さは30.75mmになります。

(6)目線の高さから(5)を引く
最後に目線の高さ(今回は1000mm)から(5)で求めた目線位置より下の部分となるスクリーンの長さを引きます。

1000mmー30.75mm=969.25mm

よって、スクリーン下端の高さはシミュレーションでは969.25mmとなります

まとめ

大画面スクリーンを快適に見るためのスクリーンの高さ位置についてご紹介しました。
厳密に計算しましたが、さすがに小数点までは必要ありませんので、計算方法の目安としてとらえてください。
本記事はご家庭のホームシアターにおける高さの目安になります。

目線の位置とスクリーンのイメージセンターの位置、その角度から算出しました。
シミュレーションでは見上げる角度を15°としていますが、その辺は視聴者のお好みやスクリーンの設置環境に合わせて上手く調整してみてください。

きっと快適なスクリーンライフになることでしょう!