スクリーンメーカーがお答え!材質別に見る映写用スクリーンの正しいメンテナンス方法

スクリーンのメンテナンス方法

皆さん、プロジェクタースクリーンのメンテナンス、日々のお手入れはをどのように行っていますか。
スクリーン生地には様々な素材があり、スクリーンの生地に合うメンテナンスが存在します。(そんなに選択肢はありませんが)

スクリーン生地はデリケートなため取り扱いには細心の注意が必要です。
筆者もその昔、スクリーンの取り扱にはよくお叱りを受けました。
「そんなところ触るな!」「そんな扱いではだめだ~」などなど、今となっては良い経験です。

ということで、今回はスクリーン代表的な3つの生地(PVC系、ファブリック系、ガラスビーズ系)に焦点を当て、それぞれに最適なメンテナンス・お手入れ方法、扱う上での注意点などをご紹介します。
また、意外と多い「虫の付着」についての対処法もあわせて解説いたします。

PVC(ポリ塩化ビニル)系スクリーン

PVC系スクリーンの顕微鏡写真

PVC系素材のスクリーンは、柔軟性と耐久性を兼ね備えており、広く一般的に使用されているタイプです。
主にビジネスユースの拡散型スクリーンとして使われています。
表面はなめらかで、均一な映像再現が可能、丈夫な素材であることも利点の一つです。
ホームシアターでは映像美の観点からファブリック系、PVCをベースに塗布したビーズ系(後述)のスクリーンが多く使用されており、ここでいうPVC系とはPVCの表面をエンボス加工などを施したスクリーンを指します。

PVC系スクリーンのメンテナンス方法

日常の手入れとしては、柔らかい素材の布などで優しく乾拭きします。
汚れが目立つ場合は、軽く拭き取るようにします。
強くこするのは厳禁です。

アルコールやシンナーなどの溶剤、または研磨性のあるクリーナーはNGです。
スクリーンの表面加工を傷める恐れがあるため、使用を避けましょう。

ファブリック(繊維系)系スクリーン

ファブリック系スクリーンの顕微鏡写真

オーエスでは言うピュアマット(生地型式WF204、WF302など)がファブリックスクリーンになります。
織物のスクリーンです。
傷をつけないよう細心の注意が必要です。

ファブリック系スクリーンのメンテナンス方法

メンテナンス

柔らかいハンディモップや羽ぼうきなどで表面のホコリを落とす程度でとしてください。
汚れた場合は柔らかい素材の布でやさしく撫でるように汚れを落とします。
タオルなどでごしごしするのはNGです。
やさし~く、かる~く払い落とす感じでタッチしてください。

ガラスビーズ系スクリーン

ビーズ系スクリーンの顕微鏡写真

ガラスビーズ系のスクリーンは表面に無数の極微小なガラス粒子が散りばめられており、それぞれのメーカーが独自の配合で塗布をして仕上げています。
ホームシアターでは人気のタイプで、明るく高精細な映像を映し出し尖ったスクリーンです。

このタイプのスクリーンは非常にデリケートで、誤ったお手入れ方法で劣化するリスクがあります。

ガラスビーズ系スクリーンのメンテナンス方法

ハンディモップ

基本的には「なるべく触れない・拭かない」ことが大前提です。
それを言ったらメンテナンスできないと思われるかもしれませんが、その通りです。
汚さないようにすることが日々のメンテナンスとなります。

表面のホコリなどは、柔らかい素材のハンディモップや羽ぼうきなどで軽く払うように除去します。
その際、スクリーン表面に強く触れてはいけません。
やさし~く、やさし~く、タッチしてください。

なぜ、触れないことが原則か

ビーズ系のスクリーン表面はガラス粒子が塗布されています。
スクリーン表面に触れることで、塗布された粒子が落ちます
それによりスクリーンとしてのパフォーマンスを発揮できなくなります。
また、スクリーンの一部が汚れたため、その部分を拭き拭きすることで、粒子が損なわれると、その部分のみ映像が暗くなるといった不自然な症状となります。
そうなると、その部分の映像が気になってしょうがありません。

汚れが付着した場合は?

もし、コーヒーなどが付いた場合は、諦めてください。
諦めてそのまま使用するか(諦められない・・・)、諦めて買い替える、いずれかになります。(いずれも諦める他ないかなと・・・)
だからこそ、汚れを付けないことがスクリーンにとって大切なメンテナンスとなります。
巻上式スクリーンであれば、使用しない時は巻き上げておくことで、汚れからガードすることもできます。

虫が付着した場合の対処法

使用環境によって意外とあるのが小さな虫がスクリーンに付着することがあります。
巻上スクリーンで虫が付いたまま巻き込んでしまった・・・こうなってしまったら、優しく虫を取り除きましょう。

爪楊枝や先の細いピンなど、先端がとがった道具を使って慎重に取り除きます
このとき、表面を傷つけないように、あくまでそっと表面から持ち上げるように作業してください。
表面を強くこすったり、スクリーンの素材を無理に剥がしたりしないことが重要です。
虫の種類や状態に応じて、最も負担の少ない方法を選びましょう。

まとめ

ホームシアターで人気のファブリック系、ガラスビーズ系のスクリーン生地は細心の注意が必要です。
汚さないことが日々のメンテナンスとなります。

また、スクリーン生地は消耗品です。
5年、10年と使用するうちに、スクリーンも劣化し本来の実力が発揮できなくなります。
恐らく、新品の生地と比較すると色見が変わっています。
最高の状態で楽しんでいただくためにも、日々のメンテナンス(汚さない)と生地は消耗品であることをご理解いただき、シアターライフをお楽しみください。

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